アイドルマスターシンデレラガールズ 21話 感想 「花園へと踏み出す者と、花園へと導かれる者と、扉の前に取り残される者と」(9295文字)

 

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 アイドルマスターシンデレラガールズ21話、感想記事を書いていきます。

 今回の僕的なポイントを3つ上げときます。

 

・NGsに今必要なものは何か? 未央の選択の意味は?

・「残された者」と「自らの道を行くもの」とを繋ぐ蘭子の役割。

・花園への扉の向こうへ踏み出せず、一人取り残される卯月。

 

 まあ、そんな感じでやっていきます。

 

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(プロフィールに書かれている謎の暗号が気になってしょうがない。特に92という数字)

 

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 イギリスの小説家、フランシス・ホジソン・バーネットの「秘密の花園」

 タイトルと、女の子が閉ざされた箱庭で不思議な体験をする云々、みたいなおぼろげなあらすじは頭にありました。どこで聞いたのかははっきりと思い出せないのですが、確か社会学者の加藤諦三の著作だか公演音声だかなんだかだった気がする。

 

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(アーニャはいよいよKroneの仲間入り)

 

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(KroneのPVに出てくる屋敷。秘密の花園の屋敷かな?)

 

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(林檎というと、最近とある新興宗教のステージ背景にもあった知恵の実を思い出すが……?)

 

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(林檎から蝶が羽ばたいて、お屋敷を再生する。色々こじつければ何か言えそうな気がするが、さて)

 

  まあ、これが秘密の花園のお屋敷なら、それが再生する物語というのは分かり易いですけれどね。後半のNGのやりとりを暗示してるのかなぁ。

 知恵の実なんて出てくると、「楽園=現状」で、そこに居続けることが叶わなくなっても、新たな可能性へと歩みだしていく、みたいなメタファなのかなとか。

 まあここらへんの映像の意図は、絶対にこれだみたいなのはあんまし思いつかない。

 

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「皆さん、秋のライブについては調整しますので。待っていて下さい」

 

  冒頭から不穏な雰囲気全開ですが、プロデューサーにはあんまし迷いがある感じは受けなかったですね。

 前回TPの三人が歌う姿を見たことや、アーニャとのやりとりなどを通じて、アイドル個人が自ら可能性を見つけ、それへ賭けたいなら、自分は全力でサポートするというような方針を固めたようですね。

 

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(55分を指した時計。前回未央が踏み出したことでこの時間を指しましたが、今の段階では動かない)

 

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(進まない時計の針のように、停滞する卯月と凛)

 

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(二人を置いて、高いところへ登っていく未央の脚が映される)

 

「未央、待って!」

 

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 「しぶりんも、やりたいことやってみれば? じゃあね!」

 

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「ラブライカももちろん参加できるよね?」

「あ、うん。ソロ曲のレッスンがあるけど、私は遅れて参加できそう」

 

 唐突にぶっ込んでくる新田さん。

 

 この段階の状況を整理すると。

 アーニャはKroneへ移動。

 美波はCPでソロ活動。

 二人は、この所属で秋のライブへソロ参加する。

 一応、ラブライカが解体されるわけではないようだが、秋ライブへは出ない模様(?)。

 

 よって、CPの全体曲としてはアーニャが抜けて、NGが宙に浮いた状態(調整中)。

 

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「しぶりんはさ、ずっと悩んでたんでしょ。わたし、全然気が付かなかった。ニュージェネ以外の道なんて、考えたこともなかったしさ……ううん、考えたくなかったていうか。わたしさ、サマーフェスのとき、三人でちゃんとライブできて楽しかった。みんな笑顔でさ、キラキラしてた。あの時、やっと三人でスタート台に立てたんだよね。だから私、リーダーとして、みんなと一緒に先に進みたかったんだ。わたし、今度こそ、リーダーとしてニュージェネを引っ張ろうって思ったんだ。ここからもっともっと三人でキラキラしたいから、そうでなきゃって思って、でも――」

「トライアドの話ってわけね」

「わたしがやっぱ何もできないんだなってっ。勢いばっかでだからしぶりんは――」

 

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「それは違います。今までの活動に誤りがあったとは思いません。あなたは私が選んだニュージェネレーションズのリーダーです。あなた達には、これから、まだまだ色々な可能性があると思っています。ただ、渋谷さんの問題は――」

「それとは違う何かってことかな」

「はい」

「違うって、どう違うの」

「わかりません。ただ――少し、違うところから見てみないと、わからないものなのかもしれません」

「わからないから、確かめたいと思ってるのかもね」

 

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「プロデューサー、私も見なきゃ。それがなんなのかわからないけれど。私、しぶりんにちゃんと答えたい。じゃないと三人で前に進めない気がする。ねえ、このことは、私たちで答えを見つけるから」

 

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 つまり、城ヶ崎美嘉はPの家内だということです。

 いや、父と子の対話を仲介する嫁じゃないかこれは。未央が少年みたいだから余計に。

 そうそう、1期凸レーション回のときにPを責める姿は、別れて親権を持っていった元嫁みたいだなと思っていたんだ。

 

 まあそれはさておき、NGsの中で、このユニットに関して、最もその未来を思い描き、なおかつリーダーとしてユニットを牽引し、責任を果たさなくてはいけないと、内心で考えて来ていたのは未央だったのでしょうね。

 一度は解散の危機を乗り越えながらも、あの輝かしいサマーフェスのライブを成功させ、NGsにはこれから一体どんな未来が待っているのかと心ときめかせてきた。

 だからこそ、凛が切り出したTPの話への率直な気持ちは「いやだ」ということにならざるを得なかった。

 

 そして過去の失敗という経緯もあり、そのことに気負っていた未央は、また自分の力の至らなさを責めようとするのですが、それに関してはプロデューサーがぴしゃりと否定します。

 

「あなたは私が選んだニュージェネレーションズのリーダーです」

 

 かっこいいじゃないですか。こうなったことに、失敗を乗り越えてきた未央自体の落ち度は何もない。私が選んだ園田未央は、思った通り、NGsのリーダーとして二人を引っ張ってきた。そうしてここまで歩んできた道には何も間違いはないし、その先にはまだまだたくさんの輝きが待っていることにも違いはないのだと。

 だから、今置かれている問題は、それとは別の話なんだよと言うわけですね。

 

 P「お前を信じる、俺を信じろ!」(CV:武内駿輔)

 

 道を指し示すわけでもなく、踏み込めずに慌てふためいているのでもなく。

 アイドルがちゃんと問題と向き合って、自ら足を踏み出して自分の道を探していけるように上手くサポートしているように思えます。頼もしくなりましたね。

 

 というわけで、凛ちゃんが「わからない」と言っているものが何なのか掴むために、その「違うところ」に自分も立ってみることを未央は決意したのです。凛の迷いに対して、未央自身の意志をちゃんと伝えるために。

 NGsという三人のユニットが前へ歩みだしていくためには、その一人一人が自ら意志を示さなければならないのです。

 その船頭を切って出るのが未央であるのは、リーダーとして当然の努めなのです。

 

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「このまま、ニュージェネがばらばらになったら、わたし」

 

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(この卯月のアクションは、力強く――というより、繋ぎ止めるような不安定さを感じる。事実、次の同カットでは腕が震えている)

 

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(嫌に明るい、貼り付けたような卯月の笑顔が強調されるカット。これハイライト消される、絶対)

 

「未央ちゃんとお話しましょ。別々に悩んでるのはよくないです。ちゃんと納得いくまでいっぱいお話しましょ。大丈夫です……大丈夫です! 私たち三人で頑張って来たんですから」

「卯月……うん。ありがと、卯月」

 

 未央が自らの意志を伝えるために決意を新たにするシーンの次に、この凛と卯月の会話があります。

 というわけで、当然二人の意志は? ということになるのですが、一見前向きなようでいて、言い知れぬ不安定さを感じる人が多いシーンだと思います。

 

 はい、そうなんですよね。僕はこのシーンめっちゃ怖いです。

 まずばらばらになりそうなNGsへの不安を口にする凛に対し、それを(ばらばらにならないように必死で)繋ぎ止めるような、卯月の「ガシッ」っというアクション。

 次いで、卯月が希望を口にするのですが、その途中に、凛を掴む腕が震えているカットが挿入されます。

 卯月の嫌に明るい笑顔が強調されるカットとの不釣合いが気色悪い。

 で、卯月の発言の内容ですが、自らの意思を伝えるために一人決然と前へと進んだ未央と対比して、「別々に悩んでいるのはよくない」とはっきり言っちゃってるんですよね。

 「三人で頑張る」というのは何も間違っていません。同じ目標、課題に対し、ユニットとして三人で臨むのは、何も間違っていない。でも、今問題とされているのは、それぞれ別々の道を見つけてしまったときに、三人一緒に歩む道とどう折り合いを付けるのか、ということなわけです。そう、三人で一緒に悩むためには、三人ばらばらに意志を示さなくてはならない。今は別々に悩まなければいけない時なのです。

 ガッチャマンクラウズインサイトの話とかしたくなりましたがやめときます。

 

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コマドリさんは、ここが秘密の花園だって教えてくれたわ。でも大丈夫かしら。みんなすっかり枯れちゃって」

「何を言うんだい。ほら、あの青々とした木の上を見てごらん」

「これ生きてるの? じゃああのバラは?」

「俺らと同じさ、ピンピンしてる」

「薔薇は、この花園は、生きているのね」

 

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 直前の不安定な二人とは打って変わって、何かを掴んだように晴れ晴れとした未央。

 中盤ですが、今回のお話がどこへ行くのかはもう理解できるように思います。

 自らの意志、決意、決断。それをぶつけあって、結果を受け入れて、共に、またはそれぞれに歩みだしていく。ばちばち、きらきらぁ。

 未央の意志は三人をどこへ導いていくのでしょうか。

 

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(浮足立つCPに対し、自らの考えを示そうと決意を握りしめる蘭子)

 

「あの、彼の者たちの、旅路の……私は、いいことだと思うんです。美波さんたちが、決めたこと」

「私だって、応援したくないわけじゃないよ。ただ、今は部署がピンチってときだから」

 

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(慈母)

 

「失敗したら解散」

「そんなのやだぁ」

 

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(恥ずかしがりの蘭子が、みんなに伝えるべき気持ちを頑張って伝えようとしている姿にぐっときてしまう)

 

「冒険、なんじゃないかって。わたし、サマーフェスのとき、に、アーニャさんと一緒に歌って最初は近くに居たわたしが、美波さんの代役をしなきゃって、でも、あのとき、誰かと、ステージに立ってみて、代役とか、それだけじゃなくて、いつもと違うことをやってみて、凄く楽しくて、みんなも応援してくれて、あのどきどきは、今でもずっと覚えていて、凄く大事で……ぅん、ん」

「美波さんたちは、どう思ってるのかな。……あの! 今のままじゃ、不安だから」

「うん、ステージでも、お客さんに幸せ届けられないもんね」

 

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(おおぺどいぺどい)

 

「まあ二人の言う通り、ここで悩んでないで、全員で話したほうが手っ取り早いでしょー」

「呼びにいこっかぁ。みーんなの問題だからぁ、みぃーんなで考えよ。ね!」

 

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(またこの夫婦かよ……)

 

「皆さんには申し訳ないことを」

「未央は、自分たちで乗り越えるって決めたんだし、あのこたちも、だよ。今は見守るしかないって」

 

 サマーフェスのとき、それまでとはまったく別の活動を経験した蘭子は、言わば未央が意志を示すために立とうとしていた「違うところ」に、既に立ったことのある者であるのでしょう。

 だから、「わからない」からその場所へ行ってみたいと迷う者の気持ちと、その場所へ実際に行ってみることの意義を知っている。

 CPというこれまでの道の延長線上で新たな挑戦をしようとしている「残された者」たちの中で、彼女たちと別の道を見ようとしている者たちを繋ぐ役割として必然のキャスティングなのだと思います。気持ちを込めて喋る蘭子の言葉を通じて、みんなは今ここに居ない者たちのことを知ることができたわけです。

 蘭子がこうした役割を負ってくれたことによって、残されたCPの面々は「みーんなの問題」を「みぃーんなで考え」て、NGsより一足先に前へと進むことができるということですね。

 そんでベストタイミングで次のアクションへと導く言葉を紡ぎだす杏さんは流石。

 

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「あんたみたいに勝手な人なんて、もう知らないわ!」

「坊ちゃまおちついて」

 

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(少年声が嫌に上手い凛ちゃん)

 

「僕はもう生きられないんだ。ベッドがら動けなくなって、僕は、春が来る前に」

「あ~、かわいそうな、ぼっちゃま」

 

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「バカね、あんたはちっとも弱ってなんかないじゃない! あんたの病気の半分は、あんた自身よ! 自分に呪いをかけてるんだわ!」

 「まあ~、めありーさん、なんてことを」

 

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(二人の方へと踏み出す未央)

 

「僕は君と違って、身体も弱くて、本当に外に出られるの?」

「私だってここに来たときは身体も弱くて、それに外だって、大嫌いだったわ、でも――」

 

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 「マーサやディコンが教えてくれたの。外は宝物でいっぱいだって! そうよ、空は高くて、ハリエニシダやヒースやバラが芽吹いているの。外の空気をいっぱいに吸って!」

 

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 (未央の居る方へと踏み出す凛)

 

「僕もいっぱい吸えるかな」

 

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(顔の隠される卯月)

 

「そう、私には冒険だった」

「僕は、君の見ているものを見たかった」

「こまどりが呼んでいる、あの花園」

 

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「なんて美しいんだろう。僕はもっと早くに、ここに来るべきだったのに」

 

「うん、ごめん、待たせて」

「え、どこ?」「え?」

「大丈夫、これからだもの! 明日も明後日も、ここに来ましょう!」

 

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(台本を読み続ける卯月。時計の針は動かない)

 

「そうさ、春の次は夏、その次の秋も冬も……ずっと、ずっと……」

「恐れずに踏み出せば花園は、私たちを待っていてくれるわ!」

 

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(卯月だけが、最後まで台本を手放すことをできない)

 

「花園は、生きる輝き」

「花園は魔法の場所」

「「「花園は、私たちの心」」」

 

 未央は卯月と凛の二人へ向けて語りかけます。

 鍵のかかった扉の向こうには、たくさんの宝物が待っているのに、自分たちにはそこへ踏み出していく力がないと思っていたと。

 

「バカね、あんたはちっとも弱ってなんかないじゃない! あんたの病気の半分は、あんた自身よ! 自分に呪いをかけてるんだわ!」

 

 でも、本当に力がないのではなくて、それは単に自分でそう思い込んでいるだけだというわけですね。

  外に出たいと思っている。でもその力がない自分には、NGsという場所しかない。

 そんな二人に対して、一歩先へ踏み出した未央が、花園への扉を開いて向こうを見せてくれている。

 

 「私だってここに来たときは身体も弱くて、それに外だって、大嫌いだったわ、でも。マーサやディコンが教えてくれたの。外は宝物でいっぱいだって! そうよ、空は高くて、ハリエニシダやヒースやバラが芽吹いているの。外の空気をいっぱいに吸って!」

 

 NGsが壊れてしまったらと恐れて踏み出せずに居た凛ちゃんは、花園の向こうでキラキラと輝いている未央の方へと踏み出していきます。

 

「なんて美しいんだろう。僕はもっと早くに、ここに来るべきだったのに」

 

「うん、ごめん、待たせて」

 

 ヒーローのように凛の手を引いた未央。彼女はさらに続けて言う。これからもこうして、恐れずに自分の感じた可能性へ向けて、冒険への一歩を踏み出していけば、そこには宝物がいっぱい散りばめられた花園が、必ず――必ず待っていてくれるんだと! だから「大丈夫」だと!

 

 ――ああ、でも!

 ……卯月はこのメッセージを不安と共にしか受け止めることができません。

 

 ーー恐れず冒険へと踏み出していく?

 自分の感じた可能性へ?

 春も、夏も、その次は秋も?

 その先もずっとずっと?

 

大丈夫、これからだもの! 明日も明後日も、ここに来ましょう!恐れずに踏み出せば花園は、私たちを待っていてくれるわ!」

 

 ーー本当に?

 私は凛ちゃんや未央ちゃんみたいに、この花園へ来ることができるの?

 

 

 ………。

 

 

 うわあああああああ卯月ぃいいいいいいいいいいいい!!!!!うわあああああああ!!!!!!

 

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「いえ、やります、楽しいんです、これは私にとっての冒険だから」

 

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「新しい場所で、アーニャちゃんも頑張ってるんです、だから、私も新しいことにチャレンジしたくて!」

「美波ちゃんキラキラしてる」

「冒険してるからだね」

「うん」

「アーニャちゃんと私、二人とも頑張って秋のライブを成功させるそれが私の冒険なんです!」

 

 美波も未央や凛と同じく、自分自身への冒険へと踏み出していく決意をします。

 両者の決意に、冒険へ踏み出していくアイドルの輝きを見たCPの面々は、快く彼女たちを応援することができるのでした。

 

 めでたしめでたし、じゃないっ!

 

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「しぶりんの気持ち、知りたいって思ったの。ちゃんと返事したかったから。ちょっとづつわかってきた」

「未央、ありがとう」

 

 おめでとう。

 

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 暗いっ!暗いよ卯月っ!

 ハイライト消されちゃうよっ!

 

 「違うところ」に立ってみることで、凛の気持ちを知ろうとした未央は、どころか花園への扉を一歩踏み出して、その向こうを少しだけ覗いてみることしかできなかった凛ちゃんの手を引くことができました。

 今居る場所から踏み出して冒険することは怖いかもしれないけれど、踏み出してみれば必ず宝物がみつかる。花園は待っているんだと。

(っていうか未央はまだ15才なんだよな……なんというか王道主人公キャラだよな)

 

 ………。

 

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(花園へと踏み出すことを決めた凛ちゃんはそのことを伝えようとする)

 

「あのね、卯月――」

 

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(凛が語ろうとする言葉に目を見開く卯月)

 

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(Oh...卯月…)

 

「――いいと思います!」

「卯月?」

「未央ちゃん、とってもキラキラしてて素敵でした、だからきっと凛ちゃんもきっと」

「ありがとう、卯月!」

 

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(二人の立ち位置を強調するカット)

 

「私も頑張ります」

 

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 (55→56。先週は未央の一歩が針を動かした。今度は凛の決意が。――じゃあ、卯月は?)

 

 

 僕は今回のNGsを巡るテーマについて、「それぞれが意志を示す」ことだという趣旨のことを言いました。それが、NGsという三人のユニットの今後を踏み出していくために必要なステップだと。

 じゃあここでの卯月の反応は何なのかというと、凛が示そうとする意志を最後まで言わせず、勝手に代弁しちゃったのですね。これは、聞きたくないという無意識的な意思表示です。

 しかし、もう状況は動き出していることは卯月も当然わかっていて、抗いようがない。

 卯月は今のままでいたいのです。二人のように、花園の輝きがはっきり見えているわけでもなく、自分は一人で輝けるような個性をもっているわけでもない(と本人は思い込んでいる)。でも、二人を応援したい気持ちに嘘はない。

 そういう彼女の二律背反する感情の機微を表しているシーンだと思います。

 

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 一度離れる面々、新たに加わる面々。それぞれの冒険が始まる。

 

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(当初の目標は叶い、進みだす具体的場所がわからない卯月)

 

「今後やりたいお仕事ですか?」

「ステージもCDデビューもラジオ出演もできましたし、ええとテレビも出ましたから、このまま三人で頑張りたいです!」

 

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「島村さん個人としてはどうでしょうか」

「え、わたし……」

 

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(他所のブログに書いてあったんで確認したら、Pの腕時計が56分なんですね。このユニットが卯月を先へと導いてくれるのかもしれません)

 

「あくまで提案なのですが、小日向美穂さんとユニットを組んでみるのはどうでしょうか。タイミング的にこの企画は、秋のライブ合わせとはいかないのですが、色々学べるところがあるかと。島村さんも何か、新しいことに挑戦してみて、よりニュージェネレーションズを――」

「――やってみます!……あ、えと、あの。凛ちゃんは凄く綺麗な声してて、未央ちゃんは縁起が凄く上手くって、私は、あの……私のいいところって、なんでしょうか……」

「笑顔です」

「……笑顔」

「はい」

 

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「……ですよね。島村卯月頑張ります!」

 

 卯月もまた小日向美穂とともに新たな道を歩き出す。

 このユニットに関しては元があるらしいですね。僕はよく知らんのですが。

 プロデューサーの提案に即答する卯月ですが、そこに何かを感じて、というより、二人が歩みだした現状、とにかく自分も何かしないと、というような焦燥からの返答ですね。

 実際、返答したあと、すぐに自信なさげな様子を見せてしまいます。

(ただ個人的な考えを言うと、とりあえずやみくもに行動してみて、その中から自分の心の動くものをみつけるというのはありだと思いますけれどね。今回のお話のラインやテーマ的なものがそこにないという話で)

 そんな卯月に対しプロデューサーは自身をもって「笑顔」だと答える。

 不安まっただ中の卯月は、すぐには納得しないようで、その言葉を反芻するのですが、プロデューサーが力強く頷くのを見て、若干調子を取り戻します。

 

 P「お前を信じる、俺を信じろ!(2度め)」(CV:武内駿輔)

 

 まあ、既に先週からストレス状況が続いているので、卯月があまりに不安定なまま終わるというのも嫌ですしね。ストレスコントロール。

 一応仕切り直しの体で、次週の秋フェスへと続きます。

 

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(増えたな。賑やかで大変よろしい)

 

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(荷物を運ぶ未央)

 

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(荷物を探す卯月……)

 

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「星を見るのに一番の場所」

 

 空を見上げるシーン。星を見るシーン。そういうの多いですよね。

 卯月の問題解決をやらないということはありえないと思うので、いい加減来週で何かやるとしたら、「卯月の笑顔→ファンの笑顔=星」とか。ステージに立ってこそ、卯月にとってのSTARは一番よく見える。楓さんに近い。まあこれはとにかく思いついたことを書いてみただけで、あんま根拠はない。

 

 というわけで、21話でした。

 巷ではなんかあっさり解決しちゃって拍子抜け、みたいな感想が多いように感じますが、凛と未央をとりまく展開の構造には、僕は凄く納得してます。ちゃんと流れを読めば上手いもんだと僕は思いますけれどね。

 ただまあ、CPの混乱状況が、NGsと美波の姿を通してあっさり解決したもんだなと感じないこともないですが。それでも蘭子の位置づけの意味とかに納得すると、ちゃんと流れがあると感じられるんじゃないかなと思いますけれどね。

 

 というかそれより!

 僕は卯月がもう……。

 最後若干持ち直して終わったので、あまり深刻に捉えなかった視聴者はかなり居るのかもしれませんが(相変わらずストレスコントロールがうまい)、花園のやりとりの卯月の置いてかれっぷりとか、もう、なんか、こっちが泣きたくなります。

 ですが、そこらへん感情移入したぶん、今後上手いこと展開してくれたら、大変なカタルシスが待っているんじゃないかと期待します。

 そんなわけで、僕はこの21話、めっちゃ面白かっし、唸りました。それでは。

 

 P「お前が信じる、お前を信じろ!」(CV:武内駿輔)

 はいつになるのかな。

ガッチャマンクラウズ インサイト 9話 感想 「原始人(サル)へ還りたいみんな。人間への可能性を見るゲルサドラ」(7619文字)

 

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  ガッチャマンクラウズインサイト第21話「opt-out」の感想を書いていきます。

 

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(衝撃! 人を飲み込む床屋のサインポール!)

 

 空気を乱すもの、空気に従わないものを問答無用でくうさまが呑み込んでしまっているようです。

 実際の社会であっても、法の名の下に異分子は排除されるのは一緒ですが、誰を排除するのか、その場その場の流動的な空気だけが基準であるというは、まったくお話が別ですね。

 現実的には小集団内におけるローカルなルールに、市民社会の規範が影響力を失くす状況なんてのが関連する問題としてイメージできるかな。いじめとか。

 

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(人を飲み込むサインポールの都市伝説に衝撃を受けるつばさちゃん)

 

「なにこれ……っ」

 

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(^^)

 

 まあ当然の反応ですね。かなりの無知っぷりを披露していたつばさちゃんですが、この状況になってもお花畑でいるようだったら、いよいよ精神干渉みたいな要素を本気で考慮しなくちゃいけない展開です。

 

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(でけぇ……)

 

「でもくうさまはくうさまで、ゲルちゃんじゃないんすよねぇ」

 

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「くうさまは、空気っす!」

 

「これ、ゲルちゃんじゃないっすね」というのを、「これを生み出したのはくうさまでない」という意味だと前回の感想で書きました。

 で、くうさまは、「みんなの心」なんじゃないかとも書いたわけですが、「空気」というのが厳密な正解のようです。

 

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 (「opt-out」。(何かから)抜け出ることという意)

 

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 (「創世記:楽園」のステージがダンボールのハリボテであると強調する構図)

 

「みんなを一つにするためだよ。一つになれない人が消えちゃえば、みんなもっともっと一つになれる。それはとても素晴らしいことだよね」

「人を飲み込むなんてだめ! 今すぐやめさせて!」

 

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(やべえよ……やべえよ……)

 

 「こんなやり方で一つになったって、何も意味ない! お願い、ゲルちゃんくうさまを止めて!」

「無理だよ、くうさまは僕が動かしてるわけじゃないんだ。それに、もう少しでみんな、一つになれるんだよ」

「そんなの一つってことじゃない!」

 

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「つばさちゃんが何言ってるのかわからない」

「私、ずっとゲルちゃんとは同じ景色を見てるんだと思ってた。でも、違ったんだね」

 

 タイトルの「opt-out」は、どうやらつばさちゃんのことを表しているようです。空気から抜け出すという意味では、清音もそうかも。ああ、もう一人終盤で「抜けだした」人がいましたね。

 

 ゲルサドラは、今の状況にご満悦のようです。とにかく、宇宙人ゲルサドラとしては、「ばらばらであること」がストレス状況のようで、「一つになること」ではなくて、「ばらばらでないこと」がお望みの様子。だから、「排除」という手段は選択肢から取り除かれないようです。

 それに対してつばさちゃんは、「ばらばらでないこと」ならなんでもいいのではなく、ばらばらなみんなが「一つになること」を望んでいました。で、彼女の無知は何かというと、再三指摘してきたように、本質的に人は「みんな違っている」ので「一つにはなれない」ということを、まだ経験的に納得出来ない精神的未熟さであったわけです。

 

「私、ずっとゲルちゃんとは同じ景色を見てるんだと思ってた。でも、違ったんだね」

 

 つばさちゃんはゲルサドラと共に、ばらばらなみんなを一つにできると信じて頑張ってきた。でも、ゲルサドラは、ばらばらでなければなんでもよかったのです。

 

 あのつばさが夢見た楽園は、ハリボテに過ぎなかったということが明らかとなりました。

 この経験はつばさちゃんにとって重要ですね。

 一つだと思っていたのに、本当は違っていた。

 でも、そこで悲しみに暮れて、絶望して終わりでしょうか?

 重要なのは「違う」ということがわかったあとなのです。

 

「一緒です、ゲルちゃんは何があっても、わたしのかわいい弟です!」

「何があってもっすか? 」

 

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(返事がない、すでにくうさまに喰われたようだ)

 

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(見えているものを見ようとしない。幻想を維持するために現実を否認する先週までのつばさちゃん)

 

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「くうさまから離れろ、奴らは人間を飲み込むんだ!」

「そんなの飲み込まれるやつが悪いんだろ!」

 

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「突然ですが驚きのライブ映像をお届けしました。一国の首相を拘束しようなんて前代未聞だよこんなの。今回のガッチャマンの行動について、早速ネットアンケートをとってみました! 結果はこちら!」

 

 くうさまを生み出したのが人々の心だとすれば、くうさまの行動を人々が否定し切れないのは当然ですね。

 人を飲み込むという行動に恐怖心を抱き、間違いを感じながらも、それを望んでいるのは人々自身。

 

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(清音……)

 

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(俺はこのピンク髪の子は良い子だと思ってたんだ。ほんとほんと)

 

 リア充大学生の繋がりが、所詮は「空気」に過ぎなかったことが明らかとなる。

 ピンクの子はその限りではない思いを清音に抱いているようだが、くうさまの恐怖の前に自分の意志をのみ込んでしまう。

 清音……イキロ。

 

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(なでなで)

 

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ポニテのはじめちゃんもかわいいなぁ)

 

「でも、それはゲルちゃんじゃなくて、みんなが作りだした空気っす」

「くうさまは空気か、確かに、それなら色々と説明がつくな」

「空気を読んで、みんなの言って欲しいことを言ってあげてるわけね。そりゃ仲良くなれる、気持ちいはずよねぇ」

「ちょ、ちょっと待って下さい。じゃあくうさまが人を飲み込むのは? あれはみんなの意志だって言うんですか!」

「くうさまはずっと同じことしか言ってないっすよ。一つになりたいだけっす!」

「空気を乱す人間、空気を読まない人間を消せば、みんな一つになれる。理には叶ってるな」

 

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(半跏趺坐)

 

 どうやらカッツェのクイズの答えが、そのままくうさまの正体でもよいようですね。

 「空気」というのは、クイズの解答としては一番しっくりくるものだと思います。

 個人的にはカッツェが好きというので、2番目の候補にあげてましたけれど、「入れる」「出す」と一番整合するのはやはり「空気」ですね。

 

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(元々お堅くて人付き合いが苦手だった清音は、たとえ空気に過ぎなくてもリア充ごっこが楽しかった)

 

「空気ってそんなに悪いものですか。俺、ここんとこ空気に浸かりっぱなしでした。ていうのも、今気づいたんですけど。ガッチャマンてだけでみんなちやほやして くれて、女の子もいっぱい寄ってきて、好きでもないカラオケみんなで行って、大しておいしくないバーベキューみんなで食べて、そういうの凄く楽しかったん です! 何も考えなくても楽しいなんて、凄いことじゃないですか! 空気に流される幸せだって、あっていいじゃないですか!」

 

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 (うつつちゃん、かわいいけど清音くんの話、聴いてあげて)

 

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(脇が見えない。これはおかしい)

 

「そうっすねぇ、空気の中はぽかぽかほっこりっすもんねぇ。でも、外に出ちゃったらどうなんすかね」

 

 空気の外に出る。「opt-out」ですね。

 

 お肉が焼けすぎていたの、相当嫌だったようです。

 でもみんなで仲良く食べれば焦げ焦げお肉もおいしい!

 

 確かに、何も考えず、自分を持たず、流されるままに空気に溶け合うのは気楽で、結構楽しいものなのかもしれません。

 でも、そんなぬるま湯のようなところで生き続けたらどうなるか。

 それはそこでしか生きられない人間になることを意味します。

 これには2重の意味がある。

 一つは、空虚な自分と向き合わなければいけないということ。

 「孤独の不安」ということを言ってきましたけれど、自分がない人間は、即ち、生きていないのです。一人になると、死んでいる自分と向き合わなければいけない。それはとてつもない恐怖です。

 そしてもう一つは、空気に入った人間はそこから出ることを許されないということ。このあとくうさまによって空気から「opt-out」した人間が排除されるシーンが繰り返されますが、空気の中で生きても幸せなら良いじゃんという清音に対して、でも「外にでちゃったら?」というはじめちゃんの指摘の通り、そこには永遠に終わらない排除だけが待っているのですね。

 

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「お前の言う通りだ、清音。何も考えず、空気に流されたほうが幸せな人間は大勢いるんだろう。だが俺は気に入らない」

「どこ行くっすかぁ」

「こんな世の中にした責任は、ゲルサドラを首相にした俺にある。だからケリをつけに行く」

 

 そういう意味で、葛藤しながらも最終的には自分で決断し、矛盾を抱えながらも覚悟をもって行動する丈さんは、ちゃんと個人主義者だと思います。ですから、僕としてはゲルサドラを首相に押し上げてしまった結果は何かまずいことに繋がるのじゃないかと、物語的にはありそうなので、それに対する責任に丈さんが向き合う展開を期待しますね。この点は、ゲルサドラを支持した大衆の責任をどう描くかということとも関わってくるお話だと思います。(たぶん愚かなサルの群れの姿が描かれるのだと思います)

ガッチャマンクラウズ インサイト 05話 感想箇条書き - メモ帳

 

  というわけで、丈さんは自らの行動の結果に対して、個人主義者としてその責任に向き合うようです。

 

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(戦いに赴く丈さんはかっこいい)

 

「ゲルサドラ、お前は俺が倒す!」

 

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「空気の中に居れば、確かに気持ちがいいのかもしれない。だが、行き過ぎた一体感は、外に出ようとするものに無言の圧力をかける。そうなったら、人は自分で考えて動けなくなってしまう!」

「一つになったほうが、みんな幸せでしょ? どうしてわからないの、丈さん」

「一時的に幸せになれたとしても、それでは、社会は成り立たないんだ!」

 

 空気の中でしか生きられない人間だけの社会には多様性は存在しません。

 個々人が単なる社会の歯車になれば、それぞれのユニークな自己発展もない。

 じゃあその先に生き残る社会は何かというと、原始人の世界だと思います。

 僕はエーリッヒ・フロムを参照して、人間は「~からの自由」を手にしたと言いましたが、その逆、ようは自我を棄てて自然に帰るみたいな話ですね。

 

 さて、ではそれはどのような過程で為されるのでしょうか。

 もう言った通り、永遠に終わらない排除の末に、です。

 自我を持った人間は、一つにはなれません。それでも無理やり空気に適応し続ければ神経症になります。

 そうなったときに噴出する「異質」は、社会の病巣として隔離・排除される。現実の世界でも身近に、そこら中で行われていることです。それをくうさまが徹底して、肩代わりしてくれるだけ。

 そうやって排除し尽くした末に残った原始人(サル)だけで楽園を築き上げるわけですね。

 ゲルサドラがやっていることの先はそんなものだと思います。

 

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「フェニックスダーイブ!」

「イノセントストーム!」

 

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「イノセント、トルネード」

「うおああああああああああああ!!!!!!」

 

 丈さん……。

 

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(選挙のとき、寂しそうな幼女を元気づけるためにゲルサドラと一緒に三人で遊んだ公園)

 

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(パニックホラーのヒロイン状態)

 

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(内側が空模様の傘)

 

「風邪ひいちゃうっすよ」

 

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(閉じると赤い傘。赤いアイテムというと、1話ではじめちゃんがかわいいっすねぇーって言ってたつばさちゃんの赤い靴を思い出す)

 

ジャンプ傘 青空(男女兼用) 60cm <リーベン>

ジャンプ傘 青空(男女兼用) 60cm <リーベン>

 

 (実際にこういうのがある模様)

 

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「私、もうわかんなくなっちゃいました。誰も傷つかない平和な世の中を作りたかっただけなのに」

「つばさちゃんはきっと走りっぱなしだったんすよ」

「え?」

「それがつばさちゃんすけど今は一回立ち止まるときかもっすね」

「でも、立ち止まって何をしたらいいんですか?」

「ううん、そうっすね、ゆるじいに聞けばいいんじゃないっすか?」

「ゆるじい……わかりました、わたし長岡に帰ります。先輩今までお世話になりました」

 

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 (乗せるなwwwww)

 

「待ってるっすよ。ゲルちゃん救えるのは、きっとつばさちゃんだけっすから」

「え?」

「ひーろーってなんすかね♪ なんなんすかねなんすかね♪(ry」

 

  遠大な理想への可能性を見て、盲目に走り続けてしまったつばさちゃんは、ゲルサドラという宇宙人と自分とを分かつ隔たりに、それまで見えていなかったものがみえるようになる。

 街の中ではくうさまが蔓延り、それぞれ違うということを許容しない空気が個人を抑圧し排除しようとしていた。

 自分が理想としていたものはなんであったか。

 寂しそうに公演の滑り台に座る女の子を元気づけるため、ゲルサドラと三人で一緒に遊んだあのときの思いでこそが、自分が望んだものではなかったか。

 結局、あのときの気持ちは、ゲルサドラとは共有されていなかったのだろうか?

 

 本当に、そうなの?

 

「待ってるっすよ。ゲルちゃん救えるのは、きっとつばさちゃんだけっすから。ひーろーってなんすかね――」

 

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(自分で考えた清音は、身体が勝手に動いてここまで来てしまう)

 

「少しだけ、自分で考えてみたんです。そしたらなんか、丈さんのとこ行かなきゃいけない気がしてっ――」

 

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 (共に助けあう丈さんと清音の姿を見たゲルサドラはつばさの名を口にする)

 

「つばさちゃん……あ――っ」

 

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ガッチャマンを退けたゲルサドラは、雨の中一人佇む)

 

 僕は最近安富歩の「合理的な神秘主義」という本が面白くて、その考え方にはまってます。

 

合理的な神秘主義?生きるための思想史 (叢書 魂の脱植民地化 3)

合理的な神秘主義?生きるための思想史 (叢書 魂の脱植民地化 3)

 

 

 20世紀の歴史がなんであったかというと、人間はその合理的理性でもって全てを解き明かし、記述し、その力でもってこの世界を楽園へと導けるという信念の元に歩んできたわけですね。

 しかし、一方で科学や哲学によって明らかになったことは、人間の合理性がすべてを記述することは不可能であるという事実でした。

 ここからさらに明らかになることは何かというと、合理性を絶対化するのであれば、人は幻想を合理的な事実だと信じ込まなければならないということです。

 しかし、それは幻想なので、そのような合理性は必ず失敗へと陥らざるを得ない

 それを「神秘的な合理主義」というわけです。

 しかし、完全な合理性などというものを人間が有せなくとも、事実、この世界はたくさんの秩序を生み出し、たくさんの豊かさを生み出してきた。

 それは人間の合理性とは無関係に現にそこに存在する「神秘」なのですね。

 よって、その「神秘」をコントロールしようとする合理性が、「神秘」の発動を歪めてしまう。

 ならば、我々が「合理性」という能力を、「神秘」の発動を歪める原因を取り除くことに使うべきである、というのが「合理的な神秘主義なのです。

 

 はい、なんでこんなわけのわからない話しを唐突にぶっこんだかというと、この話は「身体性」と密接に結びついてくるからです。

 清音は、「自分で考え」て、なんだか丈さんのところへ行かなきゃいけない「気がした」。

 そして、はじめちゃんの「考える」ということと、つばさちゃんの「身体が勝手に動く」ということ。

 ヒーローってなんなのか。

 僕にはこれが、「合理的な神秘主義」に見える、という話でした。

 

 ヒーローってのはなぁ、ちゃんと「自分の頭」で「考え」たうえで、「身体」が赴くままに走りだすもんなんだよっ!

 

 それともう一つ、ゲルサドラは一体何を見たのか。

 ゲルサドラが見ているものは「可能性」です。

 異質なものを全て排除して、自分と同じものだけの世界を作ることが本当に幸せなのか。自我のある存在にとって他者は脅威ですが、同時に必要とするのが、別個の自我なのです。

 「個」のない宇宙人であったゲルサドラの中に芽生えたものはなんなのか。

 

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「そうか、おめでとう。爾乃美家累のアップデートは、どうやらここで終わりのようだな。君はつまらない人間になった」

 

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(リズムくんの蔑む視線と言葉に、るいるいは何を思うのか)

 

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(幼女も見境なく喰っちまうとか、くうさまとんでもねえHENTAIだな)

 

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 WHITE ASH!!!!

 

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(世界の幻想を暴き立てるのは、子供の感性しかない)

 

「うそつきいいいいいい!」

 

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(負傷中の清音には悪いが、うつつちゃんのセクシーな格好にしか目が行かない)

 

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(今週のJJ様の有り難い予言)

              

   赤き指揮者が旋律を  

   変えるとき      

   人は自らの色を失い  

   色無き風に      

   過ちの牙を突き    

   立てる        

              

 

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(刑務所から抜け出すリズムくん)

 

「気分が変わった、空気を変えてやろうと思ってな」

 

 おお、リズムくんが何やらかっこいい。

 きるざくらうずぅとか言ってたころの君を、小物臭いとかいってごめんね!

 

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(予言の意味を読み解いたはじめちゃんは迷わず駆け出す)

 

「ゲルちゃんを、守りに行くんすよ!」

 

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(閉ざされた楽園の前で、一人座り込むゲルサドラ)

 

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(視界が開けたつばさちゃんは、一度ゆっくり深く考えるために、長岡のゆるじいの元へと帰途につく)

 

 このJJの予言は分かり易いように思います。

 前回の感想記事で、「なにがあっても?」というはじめちゃんの言葉について言及したあれです。

 どうやらその扇動をするのがリズムくん(赤き指揮者)であるようですね。

 そしてやはり、ゲルサドラを救うのはつばさちゃんの役目のようです。

 

  ハリボテの前に一人座り込むゲルサドラはもう地球に来る前の彼ではないと思います。

 個がなければ、みんな一緒でも寂しくないかもしれない。

 でも個がある人間に必要なのは自分とは別の個なのです。

 ゲルサドラの中にそれが芽生えたのであるとすれば、彼はもう何の迷いも持たずにいるわけにはいかない。

 「~からの自由」は後戻りできない。「~への自由」を実現するために、個人を生きるしかないのです。

 

 さて、長岡のゆるじいは大丈夫なのでしょうか……。

 

 

 ガッチャマンクラウズインサイト21話「opt-out」の感想でした。

 つばさちゃんの変化が唐突に感じられるかなというのはありましたが、ゲルサドラとの決別がもたらすであろう気づきを考えると、まあ無理はないかなと思います。

 

 それぞれの葛藤と、それぞれの気付き。

 そこへリズムくんの暗躍。

 お膳立ては整ったと思います。

 あとは駆け出すだけ。

 ヒーローってなんなのか。

 答えはすぐそこ。

 

 ところで、飲み込まれた人たちは、1期MESSのときもサルベージされる設定があるので、普通に戻ってくるでしょう。そこらへんは結構ご都合な感じなので僕はあまり気にしようと思わない感じですね。それでは。

 

 おしまい。